受験シーズンに思うこと

大学入試センター試験も終わり、2月に入ると中学入試、高校入試、私学の大学入試、国立大学入試と受験シーズンが始まります。受験する本人はもちろん、家族も合否はもちろん”ノロやインフルエンザになって本番で実力を発揮できなくなるような目に合わないか”など落ち着かない季節です。

歯科医として最近この時期に気になるのは、医学部の難化と歯学部の易化です。私が大学受験した1981年当時、医学部と歯学部の間に今ほど差はありませんでした。母校の東京医科歯科大学では医学部も歯学部も同じ入学試験を受けるのですが、最高点は歯学部の受験生でしたし、2年前の1979年では合格最低点も歯学部の方が高かったと記憶しております。

我々のころは教養課程の授業は医学部と歯学部は一緒に授業を受けていたのですが、現在は医学部と歯学部の学生の学力差が激しく、難しくなっているという話を聞きます。

最近卒業して歯科医師になった母校の後輩と話をすると、受験の時、関東では比較的合格しやすいと言われる私学の医学部を併願したが不合格だったそうです。

受験勉強の成績が臨床歯科医師としての能力に、どれほどの相関があるかは定かではありませんが、研究分野においては明らかに関係があると思われます。

歯学部に勉強が得意な学生が来なくなることによって、日本発の歯科における新技術が生まれにくくなっていくことが、心配されます。

 

 


お口の中の定期検診とメインテナンスについて

虫歯も歯周病も、重症化するまで自覚症状がでない疾患です。そのため、自覚症状がなくても定期的に歯科健診やメインテナンスを受ける必要はあります。

虫歯の治療を受けたことのない人の虫歯や、歯周病は簡単な検診で比較的見つけやすいものです。しかしながら、過去に多くの虫歯治療を受けた方や高齢者の虫歯はレントゲンなどの精密な検診を受けないと見過ごしてしまうことがあります。この様な対象者は、会社や自治体の行う簡単な検診では不十分で、歯科医院での検診が必要になってきます。

検診に行く時期の目安ですが、年齢・虫歯経験の数・抜いた歯の数・歯周病の重症度などによって、さまざまで、1か月から1年といったところでしょう。

当院では、その方々に合った間隔の検診時期とメインテナンスをご案内しています。お気軽にご相談ください。

 

 


アマルガムについて

新年あけましておめでとうございます。

本年最初の書き込みになります。

最近、お見えになる方に”私の口の中にはアマルガムはありませんか?”と尋ねられることがあります。SNSに張り付けられている記事に、アマルガムの害について書いてあるものが見られるからでしょうか?

アマルガムとは比較的小さな虫歯の治療の用いられる材料で、顆粒状の銀と錫を水銀と練ることによって合金化されるもので、虫歯でできた穴に練ってすぐ詰めて、穴の中で硬化させるような使い方をします。硬化後の硬さが丁度よいこと、硬化するときにわずかに膨張するので穴に密着しやすく、古くから用いられてきました。

30年ぐらい前からアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の原因になりやすいとの報告があり、使用されなくなってきましたが、中高年の口の中には幼少期に治療されたものが今でもたまに見られます。

最近では慢性疲労や不妊、精神疾患など様々な悪影響を報告している方もいます。今のところ、アレルギー以外の害は主観的な報告が多く科学的な根拠には乏しいようです。

あまり過剰に心配するのも問題ですが、気になる方は簡単に除去できるのでかかりつけの歯科医に相談してみてもよいでしょう。


ずっと自分の歯でかむためには・・・

お口の中の2大疾患は、言わずもがなですが、虫歯と歯周病です。歯を失う原因の双璧となっています。それぞれ原因は概ね解明され、家族や本人のたいへんな努力も必要ですが、乳児からの予防を心がければ、罹患しないことは可能です。

もし、虫歯や歯周病にならなかった歯が失われるとしたら何が原因でしょうか?

考えられることは歯が割れることです。スポーツ時の事故によるものや、長年の歯ぎしりや食習慣によるものが考えられます。

ボクシングはもちろん、ラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツではマウスピースの装着が義務化されていますが義務化されていないスポーツでの装着率は低いようです。サッカーではプロのJリーグの選手でも、鳥栖の豊田選手やガンバ大阪の丹羽選手など数人しかつけていないようです。

激しいスポーツをしなくても長年の歯ぎしりで摩耗した歯は神経がある歯でも脆くなり割れやすくなります。

歯の表面は1~2㎜のエナメル質という固い組織で覆われていて、これが残っているうちはチョット見た目にはそれほど減っているようには見えないのですが、エナメル質がなくなった部分は急激に摩耗が進むようになります。

一生自分の歯でかむために虫歯・歯周病の予防・管理が必要なのは言うまでもありませんが、歯ぎしりを多くする方は歯の摩耗の防止のために、ナイトガードと呼ばれる薄手のマウスピースを使うことも大切です。

 


一言で言ってしまうと・・・

最近、電車の中づり広告で週刊誌の見出しを見ると、歯科の特集を目にする機会が多く感じます。一般の治療を受ける方が目にする情報なので、専門家として誤解や間違いはないかと、心配して書店で手に取ると、中には家に持ち帰れないよう雑誌に歯科についての特集が載っていたりして、びっくりすることがあります。

医療に限らず、政治でも経済でも、不正を抑制したり、専門家の一方的な利益や論理によって悪い方向に行ったりしないようにするためにマスメディアには重要な役割があると思います。

”銀歯は虫歯になりやすい・体に悪い”、”すぐ抜歯する歯医者は悪い歯医者”、”インプラントは事故が多く危険だ”、”歯の神経はとってはいけない”インパクトのある記事にしようとするために、言い切ってしまう見出しが多く感じます。

実際、以前はブリッジを入れるために虫歯のない歯を削る場合には、必ず神経を抜くような医院もありましたし、根管治療が得意でないがために、抜かなくてもよい歯が抜いてしまう医院もあったかもしれません。そのような被害?に遭わないために一言でキャッチフレーズとして、”歯を抜かない・神経を取らない・削らない”を覚えておくことは悪いことではないかもしれません。

一言で言ってしまうと、そうなのですが、専門的にはお口全体のことを考えると、抜いたほうが良い状態の歯はありますし、神経も取らざる負えない状態もありますし、歯も削らなければならない場合もあります。

肝心なのは、お口の中全体の将来のことを予測してもらい、高齢になった時に自分の歯がより多く残り、食事がおいしく食べられること状態になるために、その都度ベストと考えられる処置をしてもらうことだと思います