歯科医療の変化・進化(保存修復編)

保存修復とは歯髄(歯の神経)に到達していない虫歯の治療のことを示します。

この35年でセラミック系の材料の進化により、従来金属で修復されていたものが審美的に修復できるようになりました。ただ、これらは保険外治療になり、多くの歯にむし歯があると治療費が高額になる場合があります。

保険給付内の審美的な治療としてはコンポジットレジン(CR)修復があります。CR治療は40年以上昔からある治療で広範囲な大きなむし歯には不向きですが、ドラスティックな進化はないのですが、接着力・強度などが少しずつ向上し、適応できる範囲も広がり、母校の東京医科歯科大学では、すべての修復をCRで行っていると聞いたことがあります。

歯ぎしりの多い方や硬いものを嗜好する方には不向きですが、当院でもかなり大きなむし歯でも第1選択として用いることが多いです。

歯科医療の変化・進化(補綴クラウン・ブリッジ編)

クラウンは、歯が虫歯や破折によって大きく崩壊してしまったときに、人工の冠で補う治療法です。ブリッジは歯が抜けたところの両隣の歯に欠損歯と一体化したクラウンを被せる固定式の入れ歯になります。

35年前は金属を使った冠しかなく、審美的に金属が見えては具合の悪い箇所には金属の上に樹脂を張り付けたり、磁器を焼き付けたりして天然の歯と同じような色調にしたものが用いられていました。専門用語では硬質レジン前装冠・陶材焼き付け冠(メタルボンド)と呼ばれているものです。

メタルボンドは上手な術者と技工士さんが施術すれば、あたかも本物のように見える優れた治療ですが、まさに職人芸でそれぞれの技量による差が激しくあり、またどんなに上手にやっても、20年ぐらいすると生え際に内部の金属が見えるブラックラインが出てきてしまい、審美的にやり直す必要が出てきてしまいます。

それらの欠点を払しょくするために、この35年間の間に出来たものジルコニアやリチウムガラスなどを用いたオールセラミック治療がです。これらは、セラミックの強度・成型技術が上がったことによって、可能になったものです。術者・技工士のの技量による差がなくなったわけではありませんが、メタルボンドほど差が出にくくなっており、金属を使っていないのでブラックラインも出ません。

保険適応になっているものでも、硬質レジン単体から削りだして作る、CAD/CAM冠は従来の金属冠には強度ではまだ及びませんが、安価で審美的な治療と評価できます。

入れ歯・クラウン・ブリッジなど補綴の進化をみると、歯科医の技術の進化ではなく、テクノロジーの進化であることを痛感します

歯科治療の進化・変化(補綴 入れ歯編)

補綴治療とは歯が抜けてしまったところに人工の歯を補う治療で、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどがこれに当たります。抜けるまで進行しなくても虫歯などで歯冠(歯肉から出ている部位)が崩壊してしまった歯に冠を被せる治療も補綴の一部です。

歯科医になって35年、入れ歯の分野でも大きな進化がありました。入れ歯とは取り外し式のものですべての歯が抜けた場合に入れる総入れ歯と、一部の歯が抜けた場合に入れる部分入れ歯があります。残念ながら総入れ歯の分野ではあまり大きな変化はありませんでした。

部分入れ歯の分野で、新しく取り入れられたものがノンクラスプ入れ歯です。クラスプとは部分入れ歯を残っている歯に掛けるための金属のワイヤーで、口をあけると見えてしまい多くの方が対人的に気にしていました。これを用いないノンクラスプ入れ歯は審美性が従来の入れ歯に比べ格段に向上しました。ノンクラスプ入れ歯は金属ワイヤーの代わりに歯肉と同化する樹脂を用いて残りの歯に掛ける入れ歯で、構造的には従来の入れ歯と同じですので、簡単で比較的安価に装着できるので画期的と言えるでしょう。

以前からクラスプを用いない入れ歯として、アタッチメント入れ歯と呼ばれる残っている歯に特殊な装置を組み込む審美的な入れ歯もあるのですが、高価で複雑なものが多いことが欠点でした。

アタッチント入れ歯の中で簡便で比較的安価なものとしてこの35年で普及したものとして磁性アタッチメントがあります。これは文字通り磁石を用い残っている歯に入れ歯を掛けるもので、残りの歯の状態が悪くノンクラスプ入れ歯が用いられない場合などには審美的でとても有用です。

歯科治療の変化・進歩(歯内療法編)

歯科臨床に携わって、早いもので35年たちました。現在、日常的に行っている診療も実は35年前には行われていなかったり、今とは違った評価がされていたものがたくさんあります。むしろ、35年前と変わらない治療の方が少ないと言えるでしょう。

歯内療法においても、治療器具・診断方法など大きな変化が見られました。歯内療法とは歯の中の歯髄まで進行した重傷なむし歯に行う治療で”根の治療”とか”神経を取る治療”などと説明されます。歯内療法は、初めて歯髄を除去する抜髄治療と、抜髄治療が終わってから一定期間後に歯の中に細菌が入ってしまった場合に行う感染根管治療があります。

どちらも簡単に言うと、歯の内部の歯髄がある或はあった空間を消毒して封鎖する治療なのですが、歯の根の中の空間は狭く湾曲していることが多く、なかなか困難な治療になります。

 その様な治療なので35年前は手探りの外科などともいわれ、手先の感覚や想像力を駆使して行われていました。この分野で35年間で進歩したものとして歯科用CTスキャンと歯科用顕微鏡が挙げられます。高価な器械なため、いまだに普及率は50%は下回っていますが、意識の高い医療機関ではだいぶ普及してきました。

CTスキャンによって複雑な歯の根の形態が確認でき、顕微鏡により手探りで行っていた作業が直接作業箇所を見ながらできるように従来困難だった症例にも対処できるようになりました。

使いこなせる様になるためにはトレーニングは必要ですが、当院でも1年半前に導入して最近が強くその効果を実感しております。これらを用いた治療は保険医療機関であれば健康保険が使えます。

口腔衛生とコロナ感染リスク

 なんとなく新型コロナ感染リスクが高そうな歯科医療機関での、医療従事者の感染が少ないことの理由の一つとして注目されているのが、口腔衛生状態のコロナ感染への影響です。

歯科医療従事者は当たり前のことですが一般の方より口腔衛生に対する意識も高く、そのやり方についても熟知しているので、一般の方より口腔衛生状態が良い人が多いです。(医師は意外と口腔衛生に無頓着な方が多く、一般の方と変わらない印象ですが・・・)

口腔内の衛生状態が悪いことにより歯肉に炎症を起こすような細菌が増えることにより、口腔粘膜の免疫力低下により、コロナに感染しやすくなると考えられています。

歯科業界の宣伝になってしまうのですが、こんな時こそ、お口の衛生状態を確認・改善するために歯科医院を訪れてみてはいかがでしょうか。