歯科治療の変化・進歩(歯内療法編)

歯科臨床に携わって、早いもので35年たちました。現在、日常的に行っている診療も実は35年前には行われていなかったり、今とは違った評価がされていたものがたくさんあります。むしろ、35年前と変わらない治療の方が少ないと言えるでしょう。

歯内療法においても、治療器具・診断方法など大きな変化が見られました。歯内療法とは歯の中の歯髄まで進行した重傷なむし歯に行う治療で”根の治療”とか”神経を取る治療”などと説明されます。歯内療法は、初めて歯髄を除去する抜髄治療と、抜髄治療が終わってから一定期間後に歯の中に細菌が入ってしまった場合に行う感染根管治療があります。

どちらも簡単に言うと、歯の内部の歯髄がある或はあった空間を消毒して封鎖する治療なのですが、歯の根の中の空間は狭く湾曲していることが多く、なかなか困難な治療になります。

 その様な治療なので35年前は手探りの外科などともいわれ、手先の感覚や想像力を駆使して行われていました。この分野で35年間で進歩したものとして歯科用CTスキャンと歯科用顕微鏡が挙げられます。高価な器械なため、いまだに普及率は50%は下回っていますが、意識の高い医療機関ではだいぶ普及してきました。

CTスキャンによって複雑な歯の根の形態が確認でき、顕微鏡により手探りで行っていた作業が直接作業箇所を見ながらできるように従来困難だった症例にも対処できるようになりました。

使いこなせる様になるためにはトレーニングは必要ですが、当院でも1年半前に導入して最近が強くその効果を実感しております。これらを用いた治療は保険医療機関であれば健康保険が使えます。