歯科治療の進化・変化(補綴 入れ歯編)

補綴治療とは歯が抜けてしまったところに人工の歯を補う治療で、入れ歯・ブリッジ・インプラントなどがこれに当たります。抜けるまで進行しなくても虫歯などで歯冠(歯肉から出ている部位)が崩壊してしまった歯に冠を被せる治療も補綴の一部です。

歯科医になって35年、入れ歯の分野でも大きな進化がありました。入れ歯とは取り外し式のものですべての歯が抜けた場合に入れる総入れ歯と、一部の歯が抜けた場合に入れる部分入れ歯があります。残念ながら総入れ歯の分野ではあまり大きな変化はありませんでした。

部分入れ歯の分野で、新しく取り入れられたものがノンクラスプ入れ歯です。クラスプとは部分入れ歯を残っている歯に掛けるための金属のワイヤーで、口をあけると見えてしまい多くの方が対人的に気にしていました。これを用いないノンクラスプ入れ歯は審美性が従来の入れ歯に比べ格段に向上しました。ノンクラスプ入れ歯は金属ワイヤーの代わりに歯肉と同化する樹脂を用いて残りの歯に掛ける入れ歯で、構造的には従来の入れ歯と同じですので、簡単で比較的安価に装着できるので画期的と言えるでしょう。

以前からクラスプを用いない入れ歯として、アタッチメント入れ歯と呼ばれる残っている歯に特殊な装置を組み込む審美的な入れ歯もあるのですが、高価で複雑なものが多いことが欠点でした。

アタッチント入れ歯の中で簡便で比較的安価なものとしてこの35年で普及したものとして磁性アタッチメントがあります。これは文字通り磁石を用い残っている歯に入れ歯を掛けるもので、残りの歯の状態が悪くノンクラスプ入れ歯が用いられない場合などには審美的でとても有用です。